1992年以後発生していなかった豚コレラCSFが,2018年に愛知,岐阜で再発生し,周辺の地域に広がり,沖縄にまで飛び火している。CSFにはワクチンがあり,推奨地域には接種が実施されているが,国際獣疫事務局:OIEのCSF清浄国認定には一定期間ワクチンなしでCSFが発生しないという条件があるので,長期のワクチン使用は好ましいことではない。CSFの病原体CSFVはRNAウイルスで,ブタ,イノシシに対する病原体であるがヒトには感染しない。一方でアフリカ豚コレラASFがアフリカ,東欧に拡がり,近年は中国,ベトナム,韓国などのアジア諸国でも見られるようなった。ASFはCSFと同様にブタとイノシシに対する感染症で,ヒトには起こらない疾患であるが,病原体のASFVはCSFVとは異なるDNAウイルスである。ASFは近隣アジア諸国で多発しているので,日本への侵入が懸念され,しかもワクチンがないので対応が難しい。