日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.48,No.6 (2020)

表題:
豚コレラ(豚熱)とアフリカ豚コレラ(アフリカ豚熱) −Classical swine fever (CSF) and African swine fever (ASF)−
著者:
篠田純男(岡山大学インド感染症共同研究センター)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.48,No.6,pp.255−269(2020)

1992年以後発生していなかった豚コレラCSFが,2018年に愛知,岐阜で再発生し,周辺の地域に広がり,沖縄にまで飛び火している。CSFにはワクチンがあり,推奨地域には接種が実施されているが,国際獣疫事務局:OIEのCSF清浄国認定には一定期間ワクチンなしでCSFが発生しないという条件があるので,長期のワクチン使用は好ましいことではない。CSFの病原体CSFVはRNAウイルスで,ブタ,イノシシに対する病原体であるがヒトには感染しない。一方でアフリカ豚コレラASFがアフリカ,東欧に拡がり,近年は中国,ベトナム,韓国などのアジア諸国でも見られるようなった。ASFはCSFと同様にブタとイノシシに対する感染症で,ヒトには起こらない疾患であるが,病原体のASFVはCSFVとは異なるDNAウイルスである。ASFは近隣アジア諸国で多発しているので,日本への侵入が懸念され,しかもワクチンがないので対応が難しい。

Key words:
Classical swine fever(豚コレラ:CSF)/African swine fever(アフリカ豚コレラ:ASF)/Salmonella enterica subspecies enterica serovar Choleraesuis(ブタコレラ菌)/Transboundary animal disease(越境性動物疾病:TADs).