東京都では,1987年より特定建築物の冷却塔水等を対象としたレジオネラ属菌の検出状況について調査を継続して行っている。今回,2008年度から2017年度まで10年間に当センターに搬入された冷却塔水1,040件を調査対象として,レジオネラ属菌の検出状況について調査を行った結果,冷却塔水におけるレジオネラ属菌の検出率は,42.3%であった。また,冷却塔水におけるレジオネラ属菌の検出率は,年々減少傾向であった。検出されたレジオネラ属菌は,L. pneumophilaが最も多かった。検出されたL. pneumophilaの血清群については,1群が最も多く,次いで7群,5群及び13群が多かった。新規冷却塔の設置初期においては,レジオネラ属菌は検出されなかったが,年数の経過によりアメーバ類が冷却塔に定着し,その後,夏季を中心にレジオネラ属菌が増殖することが確認された。また,アメーバ類及びレジオネラ属菌は,定期的な清掃によって増殖が抑えられることが再確認された。