一言で“業務用加湿器”といってもオフィスビル等の一般空調(保健空調)から,工場や恒温恒湿施設では生産環境の湿度維持による品質管理,美術館や博物館などでは絵画や工芸品の保存・保管環境の維持を目的で使用されるなど多岐に亘っている。一般空調は,建築物衛生法が定める建築物環衛生管理基準の相対湿度40%以上を保つことで,そこで働き居住する人の健康と快適性を維持することを目的として使用されている。しかし,業務用加湿器は空調設備に組み込み使用されることが多く,一般的には目に触れることが少ない設備機器であることから,本稿では冒頭で業務用加湿器の種類と特徴を紹介した。さらに,消費電力が少なくコンパクトに設置できる等の特徴が評価され,オフィスビル等の加湿器の主流(90%以上)である気化式加湿器は,適切な維持管理がなされない場合,スケール付着による能力低下や,微生物由来の臭気(MVOC)を発生することがある。この点について,新築総合病院の気化式加湿器で生じた臭気発生事例と解決に向けた取り組み等について解説した。