カチオン性モノマーのメタクリル酸ジエチルアミノエチル(DEAM)を含むポリマーの室内汚染カビに対する抗カビ効果の検討を行った。その結果,DEAM/BAおよびDEAM/iso-BAのポリマーはC. cladosporioidesに対する胞子発芽阻害効果を示した。また疎水性モノマーとの組み合わせや疎水性含量を変化させることで,胞子発芽阻害効果に大きな影響を与えることが明らかとなり,ポリマー内の疎水性とカチオン性のバランスの重要性が示された。またDEAM/BAポリマーでは,C. cladosporioides胞子の発芽を阻害する濃度よりも低濃度で菌糸体の成長を阻害することがわかった。A. brasilliensisに対してはどのポリマーも胞子発芽阻害効果を示さなかったが,菌糸体の成長はDEAM/BA濃度2.5 wt%で完全に阻害した。顕微鏡による形態変化の観察より,ポリマーの影響で菌糸体が膨張したり,隔壁がなく変形している様子が確認され,菌糸体の数の減少も認められた。これらの結果から,DEAM/BAポリマーの室内汚染カビの菌糸体の成長阻害効果を有していることが明らかとなった。