大規模建物を中心に普及した貯水槽水道では,水質管理が適切でないと残留塩素が消失し,レジオネラ属菌に代表される有害微生物が増殖する。本研究では,貯水槽水道内の使用頻度の低い給水栓から初流水を採取し,レジオネラ属菌とその宿主である自由生活性アメーバの検出状況を調べた。その結果,約3割の給水栓からレジオネラ属菌が検出された。再増殖が起こりやすい場所を絞り込むため,検出頻度の高かった3つの受水槽について微生物調査を実施したが,いずれからもレジオネラ属菌は不検出,かつ内壁面のバイオフィルム形成も抑制されていたことから,汚染は各給水栓近傍で局所的に進行したと考えられる。レジオネラ属菌陽性試料では遊離塩素がほぼ消失していた一方,自由生活性アメーバは遊離塩素が0.4 mg/Lを超える試料からも検出されたことから,レジオネラリスク低減に向けて宿主となる自由生活性アメーバに関する情報蓄積も必要と考えられる。