日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.48,No.8 (2020)

表題:
紙上ミニシンポジウムⅠ 〜水の衛生管理〜
4.定量的微生物リスク評価を用いた水道水質管理
著者:
橋本 温(県立広島大学生物資源科学部生命環境学科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.48,No.8,pp.383−391(2020)

本稿では,水道における定量的微生物リスク評価(QMRA)とリスク評価に基づいた水質管理について,健康に係る化学物質の管理の例と比較しながらその問題点,課題を整理した。現状では,リスクアセスメントに基づいて水道水質基準が制定されている化学物質と比較して,わが国の水道水質における水系感染症微生物にかかるリスク評価手法の導入は,微生物特有の様々な課題も多いことから,まだ発展途上の段階である。しかしながら,より安全で科学的な水道水質管理のためにはリスク評価の考え方を取り入れた管理や基準の制定を試みることは極めて重要なものであり,今後の進展の重要性を示した。加えて,水道におけるクリプトスポリジウムのリスク評価および浴槽水におけるレジオネラ菌のリスク評価を例に,QMRAの一例を示した。

Key words:
Quantitative Microbial Risk Assessment(定量的微生物リスク評価)/Cryptosporidium(クリプトスポリジウム)/Legionella(レジオネラ)/Drinking Water Quality Standards(水道水質基準).