日本防菌防黴学会

学会のご案内

関連情報

  • English

日本防菌防黴学会誌

Vol.48,No.9 (2020)

表題:
中型獣類におけるSalmonellaの分布状況(短報)
著者:
石﨑直人,勅使河原広季,古畑勝則(麻布大学 生命・環境科学部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.48,No.9,pp.393−397(2020)

野生動物におけるSalmonellaの保有状況を知り,人獣共通感染症の発生の可能性を検討するため,2017年12月から2018年12月にかけて神奈川県および東京都で捕獲されたアライグマ44頭,ハクビシン19頭およびアナグマ2頭の計65頭を対象にSalmonellaの分離を試みた。また,分離同定された菌株について血清型別を行ったところ以下の成績が得られた。 全体では65試料中6試料(9.2%)からSalmonellaが分離された。その内訳は,アライグマ44試料中3試料(6.8%),ハクビシン19試料中2試料(10.5%)およびアナグマ2試料中1試料(50.0%)からそれぞれ分離された。地域別では,神奈川県では59試料中6試料(10.2%)からSalmonellaが分離されたが,東京都内で捕獲された4試料からはまったく分離されなかった。市町村別では,アライグマは,綾瀬市で11試料中1試料(9.1%)から,大和市では5試料中2試料(40.0%)から分離された。ハクビシンは,厚木市のみで7試料中2試料(28.6%)から分離された。またアナグマは,愛川町でのみ捕獲され,2試料のうち1試料(50.0%)から分離された。分離株の血清型別状況では,アライグマ由来株はS. InfantisとS. Thompsonに各1株該当したが,1株は型別不能であった。ハクビシン由来株はS. SchwarzengrundとS. Ruandaにそれぞれ1株ずつ該当した。また,アナグマから分離された1株は型別不能であった。

Key words:
Salmonella spp.(サルモネラ属菌)/Common raccoon, Procyon lotor(アライグマ)/Masked musang, Paguma larvata(ハクビシン)/Japanese badger, Meles anakuma(アナグマ)/Beasts(獣類).