ステンレス鋼を大気中で300℃以上に加熱すると不動態皮膜中のFeの濃縮によりタンパク質の吸着親和性が増し,表面水酸基密度と負の表面電荷密度(σapp)の減少によりアルカリ洗浄性が低下した。硝酸処理は不動態被膜中のCrの濃縮によりタンパク質の吸着親和性を減少させる一方,負のσappの減少によりアルカリ洗浄性を低下させた。リン酸塩処理はステンレス鋼の正のσappを減少させる結果,タンパク質との吸着親和性を低下させ,アルカリ洗浄性を向上させた。PET試験片に吸着したP. fluorescensの脱着過程において次亜塩素酸ナトリウムが殺菌兼用の洗浄作用を示すことを示した。次亜塩素酸ナトリウムがアルカリ性で洗浄効果を示すのに対して亜塩素酸は酸性で洗浄効果を発揮した。