微生物を利用して揮発性有機化合物(VOCs)や油類で汚染された土壌や地下水を浄化するバイオレメディエーション技術が広く普及している。塩素化エチレン類で汚染された地下水に浄化材を供給して,地盤中の嫌気性脱塩素細菌を活性化する浄化試験を実汚染地盤で実施した。微生物分解性の高い浄化材を適量供給した結果,浄化に適した嫌気環境が形成され,浄化材が到達したエリアでは地下水中の塩素化エチレン類濃度が減少した。また,浄化完了後に有機物や窒素濃度は浄化開始時の濃度まで減少し,浄化期間中のメタンガスや硫化水素などの有害ガスの発生も抑えられた。次世代シーケンサーを用いて,浄化期間中の菌叢解析および有用菌・病原菌の検出を行った結果,浄化材が到達したサイトでは明確な菌叢の変化が確認できた一方で,有用菌・病原菌については検出精度が低く,現時点では定量PCR法などの併用による浄化管理が必要であることが示された。