新型コロナウイルス感染症(Coronavirus disease 2019,COVID-19)の患者ケアに携わる医療従事者は労働環境や感染防護服の不足により,全世界でその多くがCOVID-19に罹患する危険性を有していると指摘されている。新型コロナウイルス感染症患者の診療・ケア業務に従事するには個人防護具の着用が必須である。本稿では著者らが進めてきた感染防護服(フルカバー)の研究成果をまとめた。その要点は以下;①看護師へのインタビュー調査を行い,感染防護服による個人防護服の選択判断,設備不備,脱衣の教育訓練,汚染部特定の問題,素材の問題が挙げられた。②感染防護服の運動機能性,温熱的快適性については,看護動作時の運動機能性の不備や暑さ・蒸し暑さによる不快感動作時の心拍数増加が課題となった。③個人防護服表面へのMRSAやレンチウイルスの付着性の実験では,クラス6の感染防護服で,どちらの病原体も最も多く付着することがわかった。④看護動作時の汚染部位の特定実験では,胸腹部の汚染が多く,脱衣時の教育訓練の必要性が重要な課題に挙げられた。感染防護服の問題点を明確化したことにより,将来への改良に向けて解決策を提言した。