微生物は非常に多種多様のため,定型化された試験法や,ただ規格内に入ったから問題ないという判断だけでは,製品や原料等の微生物学的品質を確保できない場合がある。そこで本報告では,より適切な試験及び判断を行うための留意点として以下の項目について解説した。細菌の培養日数は3日では不十分な場合がある,W/O製品の直接塗抹は回収率が低い,特定微生物は1g陰性を保証する必要がある,培地性能の確認は重要,抗菌成分が中和できていないと間違った結果となる場合がある,グラム染色の重要性と正しく染色するためのコツ,生菌数は規格内だけを保証するだけでは不十分で菌が増えないことが重要,特定微生物陰性の意味(他の病原菌混入を否定),試験だけで微生物学的品質を確保できるわけではない。現在行っている試験や判断を今一度検証し,より適切な方法としていくための参考となれば,幸いである。