日本防菌防黴学会

学会のご案内

関連情報

  • English

日本防菌防黴学会誌

Vol.49,No.1 (2021)

表題:
強制通風気化システムにおけるアルカリ性条件下での次亜塩素酸とモノクロラミンの揮発性と殺菌作用(原著論文)
著者:
中村幸翼,加藤稜也,福﨑智司(三重大学大学院生物資源学研究科),林 智裕,石田陽子,堀切茂俊,吉田真司(パナソニックエコシステムズ(株))
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.49,No.1,pp.3−9(2021)

強制通風気化システムにおける次亜塩素酸とモノクロラミン(NH2Cl(g))の揮発性と殺菌作用をアルカリ性条件下(pH8.5)で検討した。モノクロラミン水溶液は,撹拌条件下で同量の1M NH4Clと14mM NaOClをpH8.5で混合して調製した。NH2Cl(g)の揮発量は,気体状HOCl(g)より約13倍も高かった。HOCl(g)とNH2Cl(g)の放散過程は,各々零次および一次速度論に従うことが示された。湿潤寒天平板上のVibrio parahaemolyticusCladosporium cladosporioides胞子に対するHOCl(g)とNH2Cl(g)の不活化効果は,各々の濃度と時間の積に依存した。NH2Cl(g)への暴露の初期に,死滅の遅延期が見られた。NH2Cl(g)の不活化効果はHOCl(g)と比較すると低いけれども,揮発NH2Cl(g)が相対的に高濃度なので暴露時間を延長すればHOCl(g)と同等の効果を得ることができた。

Key words:
Gaseous monochloramine(気体状モノクロラミン)/Gaseous hypochlorite acid(気体状次亜塩素酸)/Volatility(揮発性)/Air stripping(通風放散)/Forced-air vaporizing system(強制通風気化システム).