Vol.49,No.2 (2021)
- 表題:
- 肺炎予防を目的とした口腔ケア剤有効成分のIn vitroにおける効果検討(短報)
- 著者:
- 刈田綾美(文京学院大学大学院 保健医療科学研究科),眞野容子,古谷信彦(文京学院大学大学院 保健医療科学研究科,文京学院大学 保健医療技術学部 臨床検査学科),神作一実(文京学院大学大学院 保健医療科学研究科,文京学院大学 保健医療技術学部 作業療法学科)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.49,No.2,pp.55−59(2021)
口腔ケア剤を用いた口腔ケアにより肺炎の発生率が低下したことが海外で報告されているが,肺炎予防は口腔ケア剤本来の目的ではない。本研究では,口腔ケア剤の様々な有効成分が肺炎起炎菌の増殖をコントロールできるかを調査した。既成製品濃度に従い,グルコン酸クロルヘキシジン,塩化セチルピリジニウム,及び1,8-シネオールをミュラーヒントンブロスに添加した。培養後,細菌懸濁液を108 CFU/mLに調整し,口腔ケア剤有効成分添加MHBに添加,600 nmで1時間ごとに吸光度を測定,増殖曲線を作製し,その静菌効果を評価した。粘膜適用可能低濃度であっても,口腔ケア剤有効成分は肺炎起炎菌増殖を効果的に抑制した。増殖抑制効果が最も高い成分は,細菌種によって異なった。したがって,口腔ケアは標的細菌種に基づいて有効成分を選択することで,より効率的な肺炎予防に繋がると考えられる。
- Key words:
- Oral care(口腔ケア)/Pneumonia prevention(肺炎予防)/Chlorhexidine gluconate(グルコン酸クロルヘキシジン)/Cetylpyridinium chloride(塩化セチルピリジニウム)/1,8-cineole(1,8-シネオール).