血液透析関連で使用される医療機器は,生命維持装置として多彩な機能を来すために内部構造が複雑である。出荷前に行われる通水試験時の水が,施設搬入時に残っており,初期洗浄時の汚染が最も高度で分離される菌種も多く多彩であった。装置間にUF膜を設置して区画化し,清潔操作で二次汚染を防いだうえで,臨床使用後毎日洗浄消毒しても,確率論的に菌は分離された。その多くはMethylobacterium属で,どの装置も初期洗浄時と同じ菌種が分離され,装置内の部品や配管にバイオフィルムとして棲息していると考えられた。透析用装置に使用される高濃度の消毒剤を長時間反応させても,バイオフィルム内の菌は殺滅されず遺残した。蛍光染色法と培養法で,洗浄初期や未消毒の配管から採取される溶液中の菌数はほぼ等しい。しかし洗浄消毒により,両者の差は2~3桁に広がる。消毒による損傷で培養不能となっても死滅していないと考えられ,汚染度の評価に蛍光法などの迅速法の併用が必要になると考えられた。