日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.49,No.6 (2021)

表題:
食品・医療・環境分野での感染制御
[7]麻痺性貝毒とフグ毒 -生物学的分布,食中毒防止対策と分析法-
著者:
佐藤 繁(北里大学海洋生命科学部 応用生物化学講座)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.49,No.6,pp.275−280(2021)

麻痺性貝毒とフグ毒は致死的な食中毒を引き起こすことから,食品衛生上の重大な問題となっている。本稿では,これら2種の海洋生物毒の性状と生物学的分布,類似点を紹介する。食材中のこれら2種の毒は従来,マウス試験法で定量されてきた。しかし近年,同法に対しては動物実験に関わる様々な問題点が指摘されており,これに替わる毒の分析の開発が急務となっている。ELISA法はその第1候補である。これらの毒をハプテンとするモノクローナル抗体が既に開発されているものの,多数の関連成分からなるこれらの毒成分の一部しか認識せず,これに基づくELISAキットは使用に制約が多かった。本稿では筆者らが新たに開発した,それぞれの毒の関連成分を広く網羅するポリクローナル抗体の開発とその応用について,併せて概要を記載する。

Key words:
麻痺性貝毒/フグ毒/ELISA/貝毒モニタリング/分析法.