日本防菌防黴学会

学会のご案内

関連情報

  • English

日本防菌防黴学会誌

Vol.49,No.6 (2021)

表題:
紙上ミニシンポジウムⅢ 〜殺菌・抗菌・除菌分野の新たな進展〜
2.梅酢ポリフェノールの抗ウイルス活性とその応用(呼吸器感染症予防)に向けた試み
著者:
池田敬子(和歌山県立医科大学保健看護学部),辻本和子,西出充德(和歌山信愛女子短期大学食物栄養専攻),味村妃紗,三谷隆彦(和歌山大学食農総合研究教育センター),長尾多美子(四国大学短期大学部人間健康科介護福祉専攻),Tsutomu Arakawa(Alliance Protein Lab.),桑原知己(香川大学医学部),小山 一(和歌山信愛女子短期大学食物栄養専攻,和歌山県立医科大学医学部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.49,No.6,pp.307−315(2021)

梅干しの生産過程では副生成物として多量の梅酢を生じる。この梅酢中には梅果実に含まれていたポリフェノールが多量に含有されている。このポリフェノールは三谷らにより梅酢ポリフェノール(UP)として工業的に精製され,我々はUPのウイルスに対する作用について調べてきた。インビトロの系での解析からUPが細胞毒性を示さない濃度でウイルス増殖抑制作用(抗ウイルス作用)やウイルス不活化作用(消毒作用)を示すことを見出し,さらに不活化作用に対するタンパク質による妨害作用の克服を目指して,UPと協働的に働く化合物についても検討した。また,これらの結果に基づいてうがい薬として用いた場合の呼吸器感染症への予防効果を臨床研究として調べ,感染防御効果として有意な結果を得た。本総説では,網羅的な記述を避け,組織障害作用が少ない消毒薬の意義とその応用について論じるとともに,我々がこれまで見出してきたUPの抗ウイルス作用とその応用に向けた研究を中心に紹介する。

Key words:
Umesu phenolics(梅酢ポリフェノール)/Mucosa-friendly disinfectant(組織障害のない消毒薬)/Respiratory viral infection(呼吸器ウイルス感染)/Food-derived disinfectants(食物由来抗ウイルス活性)/Virus inactivation(ウイルス不活化).