ライフスタイルの多様化から,中食である惣菜や弁当の市場は拡大している。原材料の種類や調理方法が多岐に亘るとともに,宅配や持ち帰りをはじめとして,温度管理を中心とした微生物制御が非常に難しい商品であると言える。惣菜の衛生管理を確実に行うためには,ハードルテクノロジーを有効に設定・運用することが求められる。すなわち,殺菌等の積極的な“やっつける”ハードルに加えて,低温,pH,水分活性,フィルム包装といった“つけない・ふやさない”ハードル,さらにはこれらのハードルが確実に実行されるための補助剤等のハードルを有効かつ有機的に連携させるとともに,一般衛生管理やその土台となる食品衛生7Sを導入することが重要である。本稿では,筆者らがこれまで実施した実験データを例示しながら,惣菜の安全性を高度に保つために必要なハードルテクノロジーに関して論述する。