日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.49,No.8 (2021)

表題:
微生物を利用した有用物質生産
[1]「何を原料として,何の菌を使用して,何を作るのか?」-開演にあたって-
著者:
森 美穂(近畿大学農学部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.49,No.8,pp.399−403(2021)

現在,微生物を使用して作ることができる物質の種類は著しく増加し,バイオプラスチック,有用タンパク質,高機能化学品,バイオ燃料,食品用機能性物質,医薬品中間体など,多岐にわたる。日本政府が提示した「2030年に世界最先端のバイオエコノミー社会を実現する」目標の中で,日本の微生物資源・生産資源,発酵技術の強みを生かしたバイオ生産システムにより,環境的にも経済的にも持続可能な社会を実現することが設定された。微生物のものづくりに必要な原料としては,カーボンニュートラルな資源である廃棄物系バイオマスと未利用系バイオマスが注目されている。物質生産に用いる微生物はすでに保存されているものを使用する場合と,探索源かスクリーニング方法を工夫して,自ら単離した優れた能力をもつ新規の菌株を使用する場合がある。本稿では,講座を開講するにあたって,微生物による物質生産に関する概要と最近の日本政府の取り組みについて紹介する。

Key words:
Using microorganisms(微生物利用)/Useful compounds(有用物質)/Bioeconomy(バイオエコノミー)/Biomass(バイオマス)/Recombinant(遺伝子組換え株)/Smart cell(スマートセル).