鮮度低下の速い魚介類を主原料とする水産加工食品において,素材の風味を生かし,かつ安全性も十分に確保した製品の開発を実現するためには,緩やかな微生物制御条件を複数組み合わせたハードルテクノロジーの活用が必須である。製品に負荷するハードルの種類や強度は,本来の風味や食感といった「おいしさ」を損なうことのないよう食品毎に検証が必要であり,バランスを考慮し適切に選択するのが望ましい。本講座では,幅広いハードルの組み合わせが可能な「たらこ(バラコ)」をモデル食品として,各ハードルにおける微生物制御への影響を検証した。ハードルとして,冷蔵保管,食塩添加,日持ち向上剤添加,低温殺菌を組み合わせた保蔵性評価及び食中毒原因菌の接種試験を行い,各条件での一般生菌数と食中毒原因菌の生菌数変化について得られた知見を報告する。