本研究では,細菌との共存がAcanthamoeba castellaniiの増殖に与える影響を明らかにするため,A. castellaniiをグラム陰性菌,グラム陽性菌,そしてハードコンタクトレンズ装用者のコンタクトレンズケースから単離された分離菌との共存下で培養し,その増殖性をin vitroで評価した。その結果,A. castellaniiはグラム陰性菌だけでなく,グラム陽性菌も栄養素として増殖する可能性が示唆された。また,分離菌との共存下においてもA. castellaniiは増殖したことから,レンズケース内の細菌汚染がアカントアメーバ角膜炎のリスクを高める可能性が示唆された。さらに,UV照射で死滅させたEscherichia coliやStaphylococcus epidermidisとの共存下においてもA. castellaniiは増殖したことから,コンタクトレンズケアにおいて,できる限りレンズケース内から細菌を除去し,コンタクトレンズやレンズケースを清潔に保つことが感染症のリスク低減に繋がることが示唆された。