近年,プラズマ放電による空気中イオンが細菌やウイルスを殺滅することが報告され,市販の家庭用電気製品にも広く利用されている。しかし,これらの殺微生物効果は,限られた密閉空間での評価が多く,また,その主な作用はオゾンによるものと指摘されている。今回我々は,脱臭装置として利用されているオゾン発生のほとんどないマイクロプラズマ放電装置を用い327L空間での強制換気条件での各種抗菌薬耐性菌を含む医療関連施設感染の原因菌および真菌に対する殺菌効果について検討した。その結果,MRSA,ESBL産生E. coli,MBL産生S. marcescens,MDRP,B. cereusに対して直接,間接的暴露条件において経時的な殺菌効果がみられ,直接暴露条件では2時間の比較的短い時間で殺菌される傾向がみられた。C. difficileに対してもある程度の効果が確認された。今回検討に用いた脱臭装置は医療現場における環境からの接触感染経路による感染対策に応用が可能であると考えられた。