ガブトガニC因子の組換えタンパク質(rFC)を用いたエンドトキシン測定試薬,および生物学的製剤で生じるLow Endotoxin Recovery(LER)の概要を紹介する。薬局方エンドトキシン試験の代替法としてrFC試薬を評価したこれまでの研究では,各種LPSに対する反応性,注射剤成分から受ける干渉の程度,ロット間の安定性について,rFC試薬の性能はLAL試薬と同等であることが示されている。2018年にFDAがエンドトキシン試験にrFC試薬を採用した製剤を承認し,2021年には欧州薬局方にrFC試薬を用いる試験法が追加されるなど,海外では原料を野生生物に依存しないrFC試薬の使用が広がりつつある。生物学的製剤ではエンドトキシンが検出されなくなるLERという現象が起こることがある。そのため,生物学的製剤の承認をFDAに申請する際,LERに関してガイドラインに従った試験データの提出が求められる。LERの機序について解明が進み,エンドトキシンを測定可能な状態に戻して測定する方法が考案されている。