Vol.49,No.12 (2021)
- 表題:
- 微生物を利用した有用物質生産
[3]深海底泥からの有用細菌の探索,分類,生産物の特性解明
- 著者:
- 倉田淳志(近畿大学・農学部・応用生命化学科)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.49,No.12,pp.635−640(2021)
地球には,その70%を占める海洋,さらにその90%を占める水深200 m以深の深海環境が存在する。深海環境は低水温,高圧,低栄養の特殊な環境であり,この環境に棲息可能な細菌が見いだされている。深海環境から見いだされる細菌は,生物ポンプや自然湧昇,深層海流,河川からの流入などの作用により多様性に富む。そのため現在,有用細菌の探索源として深海環境は注目されている。筆者は日本近海の深海底泥から見いだされる放線菌を分類して,抗菌物質や抗真菌物質の探索を試みた。さらに新種の細菌を深海底泥から分離して,分泌する酵素の特性を解明したので,これらを紹介する。
- Key words:
- Deep-sea Sediments(深海底泥)/Antibacterial and Antifungal Compounds(抗菌・抗真菌化合物)/Bacterial Enzyme(微生物酵素)/Deep-Subsea Floor Sediments(深海底下堆積物).