機能が低下した臓器を生きた細胞を用いて再生する再生医療が注目されている。再生医療では多様な生理活性を持った生きた細胞を「製品」としているために,これまでの医薬品とは異なる品質特性を持っている。例えば,製品の安定性を保証できる期間が2-3日と非常に短い。さらに,品質試験に供することができる試料の量が限られている。微生物試験に関しては,日本薬局方で求められている微生物試験に則り14日後に結果が出た時には製品はすでに患者さんに移植された後となってしまうなどの課題がある。今後,再生医療等製品が普及するには,微量な試料で安価に迅速に判定ができる試験法の開発が求められている。実績を積み重ねながら再生医療等製品の特徴に合わせたルールの見直しについて規制当局とのコミュニケーションも必要である。再生医療の産業化に向けて,微生物試験法の現状と課題について述べる。