微生物を対象とした環境測定は,日本薬局方や建築学会環境規準などにより,微生物の測定方法が定められている。これらは,培養による生菌数測定が基本となっており,数日の培養期間を要する条件もある。そのため,異常時にすぐ対応できないことが課題である。培養によらない迅速試験法は,短時間で結果を得ることができ,リスク管理に有用であり,培養法の代替えとして期待されている。本講座では,日本薬局方第17改正,参考情報に示される環境測定に適用可能な迅速試験法のうち,蛍光染色法,マイクロコロニー法,生物発光・蛍光法などの原理と特徴について解説した。また,人手を介さずに連続なモニタリングが可能な空中浮遊微生物測定機器,水中微生物測定機器の原理と測定事例,また蛍光染色法を原理とする迅速測定装置による測定事例として,UV処理後,強アルカリ電解水処理後の生菌数が培養生菌数と相関性が得られなかった事例を示した。