ポリエチレンテレフタレートおよびステンレス鋼の微粒子を用いて,水溶液中での疎水性および親水性硬質表面への芽胞の付着を検討した。B. cereusグループ,P. odoriferおよびP. polymyxaの芽胞は両微粒子によく付着した一方で,B. pumilusやB. subtilisの芽胞はどちらの微粒子にもほとんど付着しなかった。両微粒子への芽胞の付着程度は,芽胞の表面疎水性と有意な正の相関を示した。疎水性の芽胞は,水溶液の芽胞濃度に依存して微粒子への付着芽胞数が増加した。一方で,親水性の芽胞では付着量に顕著な増加は観察されなかった。また,芽胞は凝集することなく硬質表面に付着していた。以上の結果から,硬質表面への芽胞の付着には,硬質表面の疎水性度に関わらず芽胞の表面疎水性が重要な因子であり,水溶液中において芽胞に働く疎水効果が硬質表面への付着に影響することが示唆された。