手洗いは1985年CDCガイドラインにおいて,院内感染防止のために最も重要で基本的な行為であると提言されて以来,感染対策の要として認識されている。石けんと流水を用いた手洗いの除菌効果は,手洗いのスキルにより大きな影響を受ける。石けんと流水による手洗いでは,十分な「すすぎ」と「乾燥」が除菌効果を上げるために重要である。また,市中での感染対策のために,一般市民向けには手洗い方法の講習が必要である。さらに,認知症や要介護の対象が利用する高齢者介護施設では,まんべんなく擦る,十分なすすぎ,乾燥の3つのポイントに的を絞った説明や,擦式アルコール製剤の使用にあたっても,手の平全体に噴霧する工夫が有効である。感染対策を推進するには,対象に合わせた方法を提案することが重要である。