本研究ではメタクリル酸ジエチルアミノエチル(DEAM)をカチオン性モノマーとして,疎水性モノマーをそれぞれアクリル酸ブチル(BA),アクリル酸イソブチル(iso-BA),アクリル酸t-ブチル(tert-BA),メタクリル酸エチル(EMA)とした機能性ポリマーを合成し,アカントアメーバに対する抗アメーバ効果について検討を行った。DEAM/BA(組成比:80/20)が最も高い抗アメーバ効果を有しており,最小殺アメーバ濃度は0.63 wt%であった。またポリマーを構成するDEAMに対して,有効な疎水性モノマーが存在するものの,カチオン性部分と疎水性部分のバランス(組成比)が重要であることが示唆された。本ポリマーの作用機序はプラスマレンマの破壊であることが明らかとなり,汚染ソフトコンタクトレンズ(SCL)を用いた実証試験において,2.5 wt%のポリマー濃度でアメーバの検出が認められなくなったことから,SCLにおけるマルチ・パーパス・ソリューションの殺アメーバ剤としての利用可能性が期待できる。