日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.50,No.6 (2022)

表題:
食の安全・安心科学−食品製造現場・食品にかかわる微生物汚染とその対策−
[15]マイクロバブルを利用した微生物制御と食品衛生分野への応用
著者:
小林史幸(日本獣医生命科学大学・応用生命科学部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.50,No.6,pp.247−254(2022)

マイクロバブル(MB)やファインバブルなどと呼ばれる微細気泡が様々な分野で研究・利用されている。その中でオゾン(O3)MBが様々な分野での微生物制御に広く使われている。O3MBの高い殺菌効果はO3自体の強力な酸化力に加えて,MBの高い溶解性・持続性,OHラジカルの発生などに起因するとされている。しかしながら,食品(青果物)に対しての効果は限定的であり,改良の余地がある。また,筆者らは加圧二酸化炭素(CO2)殺菌にMBを組み込んだCO2MBを考案し,清酒の殺菌技術として実用化した。しかしながら,清酒以外の食品ではタンパク質変性,物性変化などを生じるため,応用を展開するためには処理条件などを再考する必要がある。CO2MBの殺菌メカニズムについては,細胞膜損傷に伴った細胞質の漏出,細胞内酸性化,酵素失活などを引き起こすことを明らかにしているが,致命傷となる要因はわかっておらず,さらなる原因解明が必要である。

Key words:
Microbubble(マイクロバブル)/Pressurized carbon dioxide(加圧二酸化炭素)/Ozone(オゾン).