チルド流通する「うずら卵水煮製品」の消費期限延長の検討をするに当たって,チルド食品の変敗原因菌とされるPaenibacillus odoriferの性状について調べた。未殺菌の試作品からP. odorifer2株を分離し,標準菌株2株を加えた計4株を供試菌株として用いた。ブドウ糖ブイヨン(GB)培地中におけるP. odoriferの発育性状は,1℃でも発育し,発育に30日要した。また,初発芽胞数の違いによって最低発育温度に変化がみられた。0.067Mリン酸緩衝液(pH7.0)中における芽胞の耐熱性では,供試3004株のD92.5℃が262.8分と極端に強く,チルド食品を対象とする低温加熱殺菌で殺滅させるのは不可能であった。そこで酢酸ナトリウム・グリシン製剤を用いて静菌効果を調べた結果,1.1%の濃度で静菌効果がみられた。