化粧品の品質を確保するための評価方法を考えていくうえで,まずは化粧品開発における微生物評価の全体像を描き,どのような試験法があるかを紹介したい。さらに,化粧品の公的な評価法である保存効力試験を取り上げ,保存効力試験の中でも第17改正日本薬局方1)およびISO 11930:20192)を比較し,試験条件の違い,各試験法における留意すべき点,試験の限界について紹介する。さらに市場での具体的な微生物汚染事例を参考にしながら,微生物汚染させないための製品タイプに応じた考え方および評価方法,防腐処方設計において防腐技術者が留意すべき点について紹介する。その中でも特に多価アルコールの特性を知ることは有用であり,多価アルコールの抗菌力は,アルキル鎖長による疎水性の高さ,および水酸基の位置による極性の高さに依存して,抗菌力が高まることなどを解説する。