国内でダニ類が媒介する感染症のうち,リケッチア感染症の日本紅斑熱とつつが虫病,ウイルス感染症の重症熱性血小板減少症候群,ダニ媒介性脳炎,ボレリア感染症のライム病について,病原体,媒介ダニ,臨床的特徴など,疾患の概要と診断のポイント,および予防対策を述べた。これらは感染症法で四類感染症に指定されており,適切な診断と対応を要する重要な疾患である。特に,日本紅斑熱と重症熱性血小板減少症候群は,近年患者数が増加傾向にあり,感染地も従来の西日本を中心とした地域から東海,関東地方へと拡大しつつあるので注意を要する。