微生物が混入した産業廃水の浄化に対して,筆者らはキャビテーションを用いた高電圧パルス放電プラズマの適用を提案している。筆者らはこの手法で大腸菌を効果的に殺滅できることを報告しており,この手法の適用範囲の拡大を図るため,枯草菌,放射線耐性細菌,分裂酵母に対する殺滅効果を検討した。これらの微生物細胞を放電プラズマで処理し,細胞生存率,DNA損傷,形態変化を評価した。その結果,大腸菌と放射線耐性細菌が放電プラズマに対して比較的高い感受性を示した。一方,胞子形成を示す枯草菌と分裂酵母は放電プラズマに対する抵抗性を示した。処理細胞のDNA損傷量は細胞生存率に対応したが,形態的な変化を示さなかったことから,放電プラズマの殺滅機構はDNA損傷を介したものであると考えられた。