メンブレンフィルタ上のEnterobacter aerogenesに対する弱酸性次亜塩素酸水溶液の超音波霧化の殺菌作用を,換気およびエアコン作動室内(67 m3)で検討した。殺菌対象であるE. aerogens付着フィルタを入れたシャーレを,霧化器から5.6 m離れた台に置いた。換気およびエアコンを作動していない室内では,90~180分の稼働中の気体状次亜塩素酸(HOCl(g))の平均濃度は36.8 ppbであり,霧化微細粒子もシャーレに到達しており,180分後には3-logの生菌数の減少が得られた。換気およびエアコンを作動すると,HOCl(g)濃度は低下し(10~17 ppb),霧化微細粒子の到達は妨げられた。その結果,対数減少値と不活化速度はHOCl(g)濃度に依存して著しく減少した。エアサーキュレータ(シャーレ方向に向けて霧化器の後ろに設置)は,HOCl(g)と霧化微細粒子の前方への流れを促進することで殺菌作用を高めた。以上の結果から,エアサーキュレータが作る気流は室内空間の霧化器から離れた位置に対する霧化殺菌の効果を高めることが示された。