食品は,消費者にとって最も身近で必要不可欠なものの一つである。市場には多種多様な食品であふれ,日々,大量生産と消費が行われているが,万が一,食中毒などの食品にまつわる事故が発生した場合,被害が拡大しやすいといった問題がある。食中毒は,その原因となる細菌やウイルスなどが食べ物に付着し,体内へ侵入することによって起こる。食中毒を防ぐためには,例えば細菌の場合,細菌を食べ物に「つけない」,食べ物に付着した細菌を「増やさない」,食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」という3原則が重要となる。本稿では,食中毒予防の3原則のうち,加熱と冷却について,食肉製品を例に挙げて説明するとともに,品質低下をできる限り抑えた凍結・解凍技術についても概説する。