本研究では,う蝕罹患歴のない被験者から分離した口腔由来乳酸菌の溶菌液が,マウス歯肉上皮細胞におけるタイトジャンクションの機能におよぼす影響を検討した。マウス歯肉上皮細胞であるGE1細胞を,Lacticaseibacillus rhamnosus KO1,L. rhamnosus L8020,L. casei YU3およびL. paracasei YU4の溶菌液で処理した。経上皮電気抵抗を測定した結果,L. rhamnosus KO1を除くすべての菌株がタイトジャンクションバリア機能を有意に向上させることが明らかとなった。また,タイトジャンクションに関連するタンパクの遺伝子発現を促進したが,その効果は菌株により異なっていた。本研究よりL. rhamnosus L8020,L. casei YU3およびL. paracasei YU4は,歯肉上皮細胞のタイトジャンクション関連分子の発現を促進することにより,タイトジャンクション機能を高めることが示唆された。