本研究では,ビブリオ・バルニフィカスに最小発育阻止濃度未満の抗菌ペプチド(AMPs)を作用させた。細菌由来のAMPであるポリミキシンBを作用させた細菌細胞から,外膜タンパク質を調製し,そのプロファイルの変化を解析したところ,極鞭毛の鞭毛繊維を構成するフラジェリンの減少が示された。さらには,鞭毛運動の低下,フラジェリン遺伝子の発現量の減少も確認された。一方,ヒト腸管由来のAMPであるLL-37,及びその断片についてもフラジェリン遺伝子の発現低下が示された。以上の結果は,低濃度AMPsが,フラジェリンの発現を抑制することにより,ビブリオ・バルニフィカスの運動性を低下させることを示唆している。