一般住宅の室内塵中のカビ汚染について,夏と冬に好乾性カビや一般カビが検出できるDG18培地と,皮膚糸状菌を含む好ケラチンカビが検出できるマイコセル(MYC)培地を用いて調査した。MYC培地で検出されたカビ数は,DG18培地でのカビ数の約1/10で,皮膚糸状菌以外に6属の好ケラチンカビが検出され,とりわけ,ChrysosporiumとScopulariopsisが多かった。好ケラチンカビは日和見皮膚感染症の原因菌と考えられる。室内塵のカビの季節変化を見ると,一般カビとは反対に,皮膚糸状菌や好ケラチンカビは,冬に増加する傾向があった。水虫の患者宅では,非患者宅に比較して,皮膚糸状菌が有意に多く検出されたが,患者宅の室内塵の約22%で検出されただけだった。理由として,床に脱落した皮膚糸状菌の優占種の1つのTrichophyton rubrumは乾燥で死滅しやすいためと思われる。水虫患者が通院することは少ないが,治療すると,室内塵からの皮膚糸状菌の検出率が,未治療の場合の約1/4に減少することもわかった。