日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.51,No.2 (2023)

表題:
分岐型脂肪酸によるケナガコナダニの防除効果と食品包装資材への固定化(原著論文)
著者:
野瀬美穂,松岡幸祐,森田 洋(北九州市立大学・国際環境工学部),中島 淳,森田洋司(日星産業(株))
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.51,No.2,pp.51−59(2023)

ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)は小麦粉やカツオ節などの貯蔵食品に繁殖する。そこで,貯蔵食品を守るための,ダニ防除剤の効果を付与したパッケージの開発が求められる。本研究では,ケナガコナダニに有効な薬剤として分岐型脂肪酸に着目し,その殺ダニ効果,忌避効果,及び薬剤効果の持続性について調査した。今回検討した6種の分岐型脂肪酸の中で,2-ブチルオクタン酸(iso-C12)が最も高いダニ防除効果を示した(LC50:32 mM, EC50:15 mM)。iso-C12処理24週後までケナガコナダニの生存数及び死亡数はほとんど変化せず,高い殺ダニ効果を持続させた。iso-C12処理28~72週後では逃避数が半数を超え,高い忌避効果を持続させた。さらに,iso-C12接触後のケナガコナダニの挙動を観察したところ,接触3時間後にほとんどの個体がImmobilized型の挙動を示した。また,iso-C12含浸不織布(レーヨン100%,60 g/m2)は,iso-C12を他の素材に固定した際よりも高いダニ防除効果を示した。このことから,iso-C12含浸不織布が食品用パッケージの素材として最も適していると考えられた。

Key words:
Tyrophagus putrescentiae(ケナガコナダニ)/Mite control effect(ダニ防除効果)/Branched chain fatty acid(分岐型脂肪酸).