本研究では,銀イオンを含む金属イオン液によるヒドロキシルラジカル発生を電子スピン共鳴法により分析した。ヒドロキシルラジカルの発生に広く用いられている二酸化チタンナノ粒子と比較して,同一濃度の銀イオンはより高いヒドロキシルラジカル発生活性を示した。また,銀イオンと二酸化チタンナノ粒子および亜鉛イオンを特定の濃度比で配合した混合金属イオン液を用いて抗菌試験をした結果,細菌希釈や培地調製に0.02%の低濃度食塩水を用いた場合に,大腸菌と枯草菌に対する高い抗菌活性を示した。ウイルスの不活化試験においても,細胞維持培地を脱塩処理した後にこの混合金属イオン液を作用させた場合に,対数減少値がほぼ3.0の高い不活化率を示した。したがって,銀イオンを含む金属イオン液の抗菌効果等の評価では,作用液中の銀イオンが安定して存在できる条件を考慮した方法の採用が必要と考えられた。