日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.51,No.3 (2023)

表題:
カンピロバクター・ジェジュニの調理段階における三次汚染率と除菌・殺菌効果の解明(原著論文)
著者:
伊藤 智(神戸学院大学・栄養学部),岸本 満(名古屋学芸大学・管理栄養学部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.51,No.3,pp.117−126(2023)

カンピロバクター食中毒予防対策を講じるため,調理段階の汚染実態を定量する必要がある。そこで低菌量を定量的に測定できるDirect-qPCR法を用いて,モデル実験後の生残数を測定し,三次汚染や除菌・殺菌効果を数値化することを目的とした。三次汚染調理モデル実験の結果,三次汚染率はまな板で3.07~5.38%で最も高かった。ほうれんそうでは,茹での方が生より汚染率が高かった。汚染発生率はまな板が最も高かった。除菌・殺菌モデル実験の結果,菌液を吸い取り,殺菌剤噴霧後に拭き取ることで,トレーの生残数が検出されなくなった。しかし全てのふきんでC. jejuniの生残が確認され,調理時の取り扱いに注意が必要であることが分かった。殺菌剤について,酸性電解水のほうがアルコールより生残数が少なくなった。またDirect-qPCR法は食中毒の原因食品調査などリスクアセスメントに有効だった。

Key words:
Campylobacter jejuni(カンピロバクター ジェジュニ)/Direct-quantitative PCR(ダイレクト定量PCR)/Tertiary contamination rate(三次汚染率)/Disinfection(殺菌)/Risk assessment(リスクアセスメント).