日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.51,No.4 (2023)

表題:
食の安全・安心科学−食品製造現場・食品にかかわる微生物汚染とその対策−
[18]ハードルテクノロジーの概念と食品の長期保存
著者:
濱中大介(鹿児島大学農学部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.51,No.4,pp.183−187(2023)

食品の保存性向上や高度な安全性を確保するためには,様々な技術を適切に組み合わせる“ハードルテクノロジー”を円滑に機能させることが重要である。ほとんどの場合において,物理的あるいは化学的な技術を適切に併用し,低い投入エネルギーの組み合わせによって許容されるレベルの微生物学的な安全性を確保することを目的としたものである。食品の保存を検討する場合,一部のグラム陽性細菌が形成する芽胞は,ストレスに対して高い耐久性を示すため,非常に厄介な存在であるが,ハードルの適切な設定によって制御は可能となる。本講座では,代表的な非加熱処理の一つである静水圧(高圧)処理について,100MPa以下の圧力レベルでの実施を目標として,いくつかの補助剤との併用による芽胞の弱体化処理と食品保存に対する効果について,これまでに筆者らが実験的に検証した内容について論述する。

Key words:
Hurdle Technology(ハードルテクノロジー)/High hydrostatic pressure treatment(高圧処理)/Bacterial spores(細菌芽胞)/Shelf life extension(保存期間延長).