日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.51,No.5 (2023)

表題:
DAMをカチオン性モノマーとした機能性ポリマーの抗カビ効果と化粧品防腐剤への応用(原著論文)
著者:
湯田彩乃,惠良真理子,森田 洋(北九州市立大学・国際環境工学部),仁科 彰((株)日本触媒)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.51,No.5,pp.219−225(2023)

化粧品は栄養価が高く,常温で保存され長期間にわたり使用されることが多いことから,防腐剤が不可欠となる。本研究では,化粧品に汚染するAspergillus属およびFusarium属に対して,カチオン性モノマーとしてDAM(メタクリル酸ジメチルアミノエチル)を用いた5種類の抗菌性ポリマーの抗真菌作用を検討した。その結果,A. brasiliensisに対しては,DAM/tert-アクリル酸ブチル(BA)が60/40の時に最も効果が高く,最小発育阻止濃度(MIC),最小殺カビ濃度(MFC)はいずれも0.63wt%であった。また,同ポリマーを用いてA. nigerおよびF. oxysporumに対して菌糸体の成長阻害試験を行ったところ,両カビに対して十分な効果を示すことが明らかになった。また添加ポリマー濃度の増加に伴いエルゴステロール量の減少が認められたことから,作用機序はエルゴステロール生合成阻害による可能性も示唆された。更に添加ポリマー濃度の増加に伴い,分生子頭の直径が小さくなり,隔壁間の距離が長くなることも明らかとなった。保存効力試験を行った結果,本ポリマーはメチルパラベンと同等以上の効力を有し,メチルパラベンと併用することでさらにその効力が高まった。以上の結果より,DAM/tert-BA(60/40)は化粧品防腐剤としての応用可能性が期待できる。

Key words:
Antifungal polymers(抗カビポリマー)/DAM(メタクリル酸ジメチルアミノエチル)/Aspergillus brasiliensis(アスペルギルスブラシリエンシス)/Antifungal effect(抗カビ効果).