足湯における糸状菌の汚染状況を知るために,2022年3月から11月にかけて,静岡,神奈川,群馬,栃木などの関東近郊の足湯施設で採水した浴槽水100件を対象に糸状菌の分離を試み,分離株の同定を行った。全体では84施設から採取した100試料中27試料(27.0%)から様々な糸状菌が分離された。これら29株は12属に同定された。このうち,Penicillium属とCladosporium属に多く,それぞれ9株(31.0%),8株(27.6%)が該当し,優占種であった。その内訳は,Penicillium属では,P. oxalicumが3株,P.chrysogenumが2株であった。また,Cladosporium属では,C. cladosporioidesが3株,C. halotoleransが2株,C. anthropophilumが1株であった。また,Aspergillus属では,A. restrictusとA. sydowiiが1株ずつ分離された。この他,Bjerkandera adustaが2株,Cystobasidium slooffiae, Exophiala dermatitidis, Meira nashicola, Neodevriesia lagerstroemiae, Parengyodontium album, Schizophyllum commune, Simplicillium sympodiophorumなどが各1株同定された。