日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.51,No.7 (2023)

表題:
ウイルス感染症に対する治療薬の作用機序と最新情報
著者:
佐々木正大(大阪大学微生物病研究所ウイルス感染制御分野),谷口 暢(サラヤ(株))
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.51,No.7(記念号),pp.425−431(2023)

2019年12月に中国で初めて報告された新型コロナウイルスはパンデミックを引き起こし,2023年3月現在も流行が完全には収まっていない。一方で,この期間に世界中の研究者が最新の科学技術やウイルス学に関する知見を総動員し,ワクチンや治療薬が短期間で開発され,臨床現場で使用されるまでに至っている。このような短時間でのワクチンや治療薬の開発および臨床への応用は,これまでの歴史においても類を見ない速さであった。一方で,開発された薬剤は副作用や薬剤耐性ウイルスの出現などの問題もあり,引き続き改良した薬剤の開発が求められている。昨今,新型コロナウイルス感染症以外の新興・再興感染症の出現も危惧されており,今回の治療薬開発の経験を基に,単に新たな作用機序の抗ウイルス薬を開発するだけでなく,国際共同研究ネットワークの形成や国際共同治験のシステム構築などのグローバルな臨床開発環境の整備が必要不可欠である。

Key words:
Antiviral drug(抗ウイルス治療薬)/COVID-19(新型コロナウイルス感染症)/Antibody pharmaceuticals(抗体医薬)/Emerging and reemerging infectious diseases(新興・再興感染症).