エゴマ種子は,野外の農地で栽培されているので土壌細菌などの含有が高く,食品に直接用いる場合には殺菌が必要である。しかしエゴマ種子を原料とする油は,熱安定性が低く自動酸化が進みやすいので加熱調理に適さないとされている。そこでアクアガス加熱装置により,エゴマ種子中の油の酸化を進めずに殺菌を行うことができるのか検討した。この結果,アクアガス加熱装置は,蒸し器,レトルト装置と同様に10分間の処理で一般生菌数が不検出となった。また種子中の油の過酸化物価には変化がなく,油の劣化は認められなかった。さらに薄膜状態のエゴマ油についてアクアガス加熱装置で試験を行ったが,60分処理しても過酸化物価の値に変化はほぼなかった。このことによりアクアガス処理は,低酸素雰囲気により油の酸化を抑制することが示され,またレトルト装置よりも加工時間が短いこと,蒸し器よりも加工後の品質の保存性で優れていることも示された。