日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.51,No.10 (2023)

表題:
食品の微生物危害要因と対策
[6]缶詰・レトルト食品,低酸性飲料の微生物汚染要因と対策
著者:
中野みよ((公財)東洋食品研究所)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.51,No.10,pp.603−609(2023)

食品における微生物汚染による事故は,①微生物性食中毒と②微生物による食品の変敗・腐敗に大別される。微生物性食中毒は,特定の病原微生物が食品中で増殖,また毒素を産生し,それを食べることにより健康被害を生ずるものである。他方,微生物による変敗・腐敗は,食品本来の味や香りが損なわれ,食べられなくなった状態を指すが,通常は特定の健康被害を誘発するものではない。しかし,一旦製造現場や品質検査などの現場で,異物混入や変色などのトラブルが発生すれば,その原因・対策の究明に多大な労力と経費が費やされ,市場においても同様で,企業は自主回収が避けられないなど甚大な経済的損失となる。本稿では,食品の中でも安価で優良な食品とされている,缶詰・レトルト食品・低酸性飲料について,主な汚染要因と対策について最近の内外の研究事情もまじえて解説する。

Key words:
Canned food(缶詰食品)/Retort food(レトルト食品)/Beverages/Spoilage/Microorganisms/変敗/細菌/芽胞/カビ/胞子/低酸性飲料.