抗ウイルス性能を有する繊維製品は,2019年末から新型コロナウイルスが世界中に蔓延したことにより,消費者から多くの注目を集めている。繊維製品の抗ウイルス性試験においてウイルス感染価を測定する方法として,50% Tissue Culture Infectious Dose(TCID50)法やプラーク法がJIS L 1922:2016に規定されており,多くの試験機関や企業における品質管理試験で,これら2つの方法が利用されている。一方で,TCID50法やプラーク法は,マイクロプレートなどの消耗品や培地などを大量に使用し多くの検体数を処理することが難しいことや,細胞変性効果を利用した方法のために感染価測定に時間を要するなどの課題がある。そこで本研究では,抗原抗体反応を利用したFocus Forming Unit(FFU)法による,繊維製品でのインフルエンザウイルスの抗ウイルス活性測定方法の有用性を検証した。その結果,FFU法による抗ウイルス活性値はTCID50法による活性値と高い相関があり,繊維製品の抗ウイルスの評価ができることが示された。さらに,試料間の活性値の変動はFFU法の方がTCID50法よりも小さかった。FFU法は,TCID50法やプラーク法よりも,消耗品や培地の使用量が少なく済み試験期間も短くなるので,JIS L 1922:2016と比較して多くの検体を効率的に試験することが可能となる。