CandidaやAspergillusに起因する深在性真菌症(日和見感染型)は,1970年頃より増加傾向がみられた。また近年,悪性腫瘍や臓器移植などによる処置により免疫力の低下した患者や後天性免疫不全症候群が新たに出現したため,今後もその患者数が増加すると予想されている。現在,国内では代表的な深在性真菌症の治療薬(抗真菌薬)として,8剤が用いられている。これら抗真菌薬のうちアゾール系抗真菌薬は,安全性の高い優れた抗真菌薬として臨床での主役を担ってきたが,現在薬剤耐性菌の出現が大きな問題となっている。また,アンホテリシンBでは耐性菌問題こそ生じていないが,強い腎障害などの副作用問題があるため,一度に使用できる量には限界がある。そこで,これら問題を解決するため,各抗真菌薬の活性を増強するような分子の探索研究を行なった。その結果,微生物培養液中より計11種の目的の活性を示す新規天然物を見出すことに成功した。本稿ではそれらの構造,活性および作用メカニズムについて紹介する。