本研究では,厚生労働省の「公衆浴場における衛生等管理要領」等の改正,及び東京都の「公衆浴場の設置場所の配置及び衛生措置等の基準に関する条例」等の改正に先立ち,都内入浴施設におけるシャワー水中のレジオネラ属菌検出状況について調査を行った。培養法及びリアルタイムPCR法の比較により,シャワー水中のレジオネラ属菌増殖の潜在的なリスクが高いことが示唆された。また,レジオネラ属菌増殖のリスク要因として,原水の種類,残留塩素濃度,及び調節槽の有無が挙げられた。さらに,分離されたLegionella pneumophila血清群1において,病原性関連遺伝子マーカーであるlag-1遺伝子が検出されたとともに,臨床分離株での報告の多い遺伝子型(ST)も多数存在した。本研究により,レジオネラ症発生防止対策として,シャワー水についても塩素消毒等の衛生管理の必要があることが確認された。